借金問題の相談者を支援する自己破産のプロ 司法書士 小川勝久事務所が運営
債務者の財産を債権者に分配して、残りを免責して借金を整理する公的な制度です。
破産とは、裁判所の監督の下、債務者の財産を債権者に分配して借金の支払いにあて、足りないときは、残りの支払いを免除してもらう(免責)公的な制度です。
破産事件全体の99.7%は、自分から申し立てる自己破産によるものです(※平成18年司法統計)。
破産は、借金の貸し手(債権者)から、申し立てる場合もありますが、わが国では一般的でなく、ほとんどが自分から申し立てる自己破産です。
個人の自己破産の場合、手続の開始と同時に終了を宣言すること(同時廃止)が多いのが実情です。
破産は、本来は、※債務者(破産者)の財産を分配するのを原則とし(管財事件)、かなり長い時間を必要とする手続きですが、個人の場合、目ぼしい財産がない、という方が大多数になります。そのときは、手続きの開始と終了が同時に宣言されます(同時廃止)。
この手続きが完了するのは、申し立ててからおよそ1〜3ヶ月程度です。
ただし、財産がある程度ある場合、財産がなくても、借金の原因がギャンブルや極端な浪費の場合(免責不許可事由)などは、管財人が選任されることがあります(※一般管財事件)。この場合、管財人による財産の整理・換価によって債権者へ配当され、手続が終了することになります(異時廃止)。
管財費用は、別途裁判所に支払う必要があり、破産の費用が高くなります。
※管財事件については、「注意点について『管財事件になるのは、どんなときですか?』」をご参照下さい。
免責審尋がある場合があります。
自己破産の同時廃止を申し立てた場合、免責不許可事由(下記の「免責について『免責不許可事由って、どんなものですか?』」参照)がなく、しかも目ぼしい財産がないと、裁判所の方で書類上判断された場合、そのまま破産手続開始決定(旧破産法でいうところの破産宣告)が下され、同時廃止になります。
しかし、免責不許可事由の存在について、不明確な点がある場合、開始決定の前に、免責審尋が置かれる場合があります。
手続きそのものは、裁判などに比べてとても簡略的なもので、裁判所にとって不明確な部分を明らかにするものです。ですから、期日は基本的に一日で、しかも短時間ですみます。
破産の事情などにもよりますが、免責審尋は、それほど少ないものではないものとお考えの上で、お心構えをお持ちいただいた方が良いと思います。
尚、大阪地方裁判所では、事業を営んでいた方の自己破産の場合、免責不許可事由の有無に関わらず、原則として免責審尋問を行う扱いになっています。
支払いが不可能な状態(支払不能)であることです。
支払不能とは、現在の収入・財産によっては,将来借金を返済することが極めて困難な状況にあることを指します。一般的には、借金の総額が、月収の中で借金返済に充てられる金額(可処分所得)から考えて、36回以上かかるという場合、既に支払不能と考えられる事になります。
借金の支払い義務をなくすことです。
破産で免責決定がおりますと、借金の支払義務が免除されます。つまり、この時点から借金から開放されることになります。
免責されないものもあります。
政策的に免責が認められないものがあります。
| 免責不許可事由 | 借金の理由が、ギャンブルや極端な浪費 |
|---|---|
| 課税金 | 所得税、事業税、住民税などの公租公 |
| 養育費等 | 養育費や扶養義務にかかる費用 |
| 損害賠償等 | 事故など不法行為に基づく損害賠償等 |
| 罰金等 | 刑事罰・行政処分などの罰金・反則金 |
破産法に定められています。
破産法は、免責不許可事由を定めています。
免責不許可事由がある場合、裁判所は、「免責しない」(免責不許可)決定をすることができるとされています。
| @ | 財産を隠したり、壊したり、贈与したり、債権者にとって不利益となるような処分をしたとき |
|---|---|
| A | 自己破産の手続きを遅らせるために、著しく不利益な条件で債務を負担したり、信用取引で商品を買い入れて著しく不利益な条件で処分したとき |
| B | 破産状態にあるのに、一部の債権者に対してのみ返済を行ったとき(偏頗弁済) |
| C | 借金の原因がギャンブルや浪費であるとき |
| D | 自己破産の開始決定の1年以内に、支払不能であることを隠して借金をしたとき |
| E | 商業帳簿作成の義務を守らなかったり、ウソの記載をしたり、その帳簿を隠す、捨てるなどの行為をしたとき |
| F | 裁判所に債権者の嘘の申告をしたとき |
| G | 裁判所の調査について、説明を拒否したり、嘘の説明をしたとき |
| H | 破産管財人や保全管理人の職務を邪魔したとき |
| I | 過去7年間において、以下のどれかにあてはまるとき ・自己破産の免責決定の確定 ・給与所得者等再生における再生計画の遂行 ・民事再生の再生計画の遂行が難しくなった場合の免責決定の確定 |
| J | 破産法で定められている義務を守らなかったとき |
7年は再び免責できません。
一度免責を受けてから7年間は、再び免責を受ける事はできません(上記「免責不許可事由」参照)。
ただ、一般的には、二度目の免責は受けにくいものと言われています。当相談室でのご依頼では、一度免責を受けてから、病気が悪化してなお借金が膨らみ、二度目の免責を受ける事ができた事例があります。
@ある程度の財産があると判断されたとき
A免責不許可事由があると判断されたときです。
大阪地裁の分類では、管財事件について、2つのものがあります。
一つは、債権者に分配する財産や債権者が多数ある法人・個人事業者向けの管財手続です(個別管財事件)。
もう一つは、免責不許可事由がある場合や、ある基準以上の財産がある場合など、それらの中身を調査する必要がある場合の管財事件です(一般管財事件。以前の呼び名で小規模管財と呼ばれることもあります)。
自己破産をお考えになる場合、多くの方は、同時廃止をご希望されるのですが、財産状態を判断し、ある程度の財産があると判断されたり、免責不許可事由があると判断された場合に、一般管財事件になる場合があります。
同時廃止から一般管財になるかどうかは、一般的には以下のような基準があります。この合算がある程度の金額になると、管財事件になります。また、各債権者に債権額に応じて按分弁済をすることによって同時廃止が認められる場合があります。
| 預貯金・積立金 | 口座が複数ある場合、全てを合算する |
|---|---|
| 保険の解約返戻金 | 契約が複数ある場合、全てを合算する |
| 自動車 | ローンと所有権留保がないもの |
| 敷金・保証金 | ただし、立ち退き費用を考慮して控除がある |
| 退職金債権 | 退職前であれば、その見込み額の8分の1で計算 |
| 過払い金 | 依頼料・予納金に当てる場合は、これを除く。大阪地裁では、過払い金債権だけが財産として存在する場合で、20万円以下である場合、そのまま同時廃止が可能です。20万円を超え、100万円未満である場合、按分弁済すれば同時廃止が可能とされていますが、100万円を超える場合は、按分弁済が許されず、原則として一般管財になります。管財事件になるかどうかは、裁判所が判断します。 |
| 合算が高額 | 上記項目の合算が、ある程度の高額になる場合 |
日常生活に必要なものと、99万円以下の現金は残せます。
破産したからといって、文字通り全財産を失うというわけではありません。日常生活に必要なもの(冷蔵庫、それほど極端に高価ではないテレビ、洗濯機や衣服など)や99万円以下の現金(現金に限る。預貯金は除く)は残されます。
原則として、知られる事はありません。
まず知られることはないと思いますが、退職金などの計算の事で、万が一知られたとしても、破産を理由に解雇する事は法律で禁じられています。
ただし、雇用契約の中身として、「破産の経歴がないもの」という条件がある場合、解雇理由にあたるかもしれません。
解約返戻金が20万円を超える場合にありえます。
保険の実質的な支払人であるかどうかを調べ、破産者の財産と認められる場合で、解約返戻金が20万円を超える場合、債権者に按分弁済することを裁判所に求められる場合があり、解約する必要が出てきます。
ただ、生命保険は、手続き中であっても、生活に必要な負担として認められるものでもあります。返戻金・掛け戻し金などを担保にして保険会社から借り入れをし、返戻金を20万以下にすることができれば、借入金を支払原資にあて、保険の解約をせずに続行するなどの手段もあります。
8分の1は支払原資に当てられる可能性があります。
退職金は、給料の後払いの性質を持っています。ですから、現在も就業中では、計算を厳格にすることはできません。
そこで、退職見込み金額の8分の1が20万円を超える場合、見込み額の8分の1については、支払原資に当てられ、各債権者に債権額に応じて按分弁済を要求される場合があります。
原則としては、手放さなければなりません。
特に高額な価値のある不動産は、全て手放す事になります。 自動車に関しても、ほぼ同じです。
ただし、ほとんど市場価格がつかないようなものは、売却を免れる事もあります。
なお、自動車や不動産については、任意売却の形をとり、親族に買い取ってもらい、使用し続けるという手段もありえます。
同時廃止ができる場合があります(オーバーローン物件)。
銀行などのローンで購入した、銀行の抵当権つきの家・土地・マンションなどの不動産については、銀行(抵当権者)は、不動産から優先的に配当を受けて、債権(貸金)を回収することができます(別除権)。
しかし、不動産の価格が下落しており、競売しても、銀行のローン残債すら、回収が大変困難な場合、裁判所は、「不動産に資産性がない」と認め、他に目ぼしい財産がなければ、そのまま手続きを同時廃止することがあります(オーバーローン物件。「債務整理相談事例」参照)。
ただし、不動産の価格がローン残債よりも少なければよいものではありません。
大阪地方裁判所の基準では、平成20年から、以下のような場合、同時破産廃止決定をする運用がなされると発表しています。
| 基準1 | 担保設定不動産の被担保債権の残債が、固定資産税評価額の2倍を超える場合 |
|---|---|
| 基準2 | 上記の割合が、1.5倍を超えて2倍までの場合は、被担保債権の残債が※査定書の評価額の1.5倍を超える場合 |
任意売却という手段もあります。
オーバーローンの新基準に当てはまらない場合、基本的には管財事件になると考えられ、破産管財人によって競売か売却を行い、銀行などの抵当権者に分配することになります。
しかし、現実には、ローンの残額を埋め合わせることができるほどの高額な競売が行われるということは、やはり稀と言えそうです。
当相談室で伺う事例でも、不動産によっては、一般の取引で任意に売却する(任意売却)方が、たとえローンの残債が出ても、時間もかかり、本当に競落されるかどうか分からない競売よりも、売却額の面で上回る場合があり、債権回収の面で若干でも有利なケースもあります。
また、新基準に当てはまり、同時廃止なれば、結局、抵当権者は、競売か任意売却を経て、債権回収にあたることになります。
これらの事情から、銀行などの抵当権者も、最初から任意売却に応じることもあります。
残債が残りそうな場合、破産を前提に任意売却を行い、残債を確定して自己破産を申請すれば、他に目ぼしい財産がなければ管財事件にはならず、同時廃止が受けやすくなる、というメリットも生じるので、任意売却をお考えの方は、事前にご希望をご相談下さい。
そんなことはありません。
破産から7年以上経った後、信用情報から破産の事実が削除されるときが来ます。そうすれば、またローンなどを組む事もできるようになります(ただし、銀行関係の信用情報機関とクレジット・キャッシング関係の信用情報機関の一部では、10年間保存・公開されています)。
現在の破産法では可能です。
旧破産法では、外国人の場合、その国の破産法令に外国籍の破産を認める制度がなければ、破産を認めていませんでした。
しかし、現在の破産法では、国籍を問わず、右のような条文もありませんので、外国人でも日本の破産法に従って破産できます。